ディスラプションの定義

クレイトン・クリステンセンによるビジネス用語としての定義

イノベーションのジレンマ(1997年出版)で有名になったハーバード大学教授のクレイトン・クリステンセンによる定義は、

「従来のものと比べてより簡素で、より安価で、より便利な商品を提供することで、既存企業が同一のものを提供した場合に不経済なために提供が難しく、その結果、既存企業の製品がとって替わられる現象」を指している。一般に認識されているような、既存の産業を破壊してしまうようなイノベーションのことを指しているわけでは決してない。

テクノロジーを活用したディスラプションの例

eBay(1995年創業)の例:サザビーズ(Sotheby’s)という世界最古の競売会社は一点200万円以上する美術品を中心に競売を行い、販売手数料を得るビジネスモデルだ。逆に200万円未満の商品を競売にかけてては、利益が生み出せない。そこにeBayは500円の商品を売っても利益が出るビジネスモデルを考案したことで、サザビーズが独占していた競売の市場をディスラプトしている。サザビーズが低価格の競売品市場でeBayと競争できないのは、仮に500円でも利益が出るビジネスモデルに移行した場合、既存事業の利益が大幅に棄損し不経済であるからである。

Gusto(2012年創業)の例:ADPは米国最大の給与計算アウトソーシング会社だが、直接営業をして商品を販売している。利益を確保するため、年間売上が1,000万円を上回る顧客(クライアント)を中心にソフトウェアおよびサービスを提供している。Gustoは同じ給与計算アウトソーシング会社だが、セルフサービスの販売方法を採用している。その結果、年間売上10万円の顧客からも利益が出るビジネスモデルを構築し、給与計算アウトソーシング市場をディスラプトしている。サザビーズ同様、ADPも低価格商品市場に本格参入しGustoと競合出来ない理由は、既存の大口顧客の利益率が大きく棄損し不経済であるからである。

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