Charlie Foxtrot

Charlie Foxtrot ⇒ CF (下記表参照) ⇒ Cluster fuck

charlie foxtrot: a disastrously mishandled situation or undertaking

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ときたま、人はとんでもなくめちゃくちゃな状況を引き起こすことがある。それをアメリカの軍人はCharlie Foxtrotと言う。

これは天才起業家、Billy McFarlandの話である。

Billy MacFarland in the Bahamas on a jet ski, 2016

2013年のこと、既に大学を中退していたBilly McFarland (22) はMagnises(マグニーシス)というサービスで起業をする。年会費250ドルの高級クレジットカードで、会員には金属製のブラックカードが配られ、人気コンサートのチケットなどを割引で販売していた。また、少人数での会員向け交流会がマンハッタンのクラブハウスで企画され、若者に一定の日記を博していた。

Billy McFarland founder of Magnises, New York Post, 2014

すぐ様Billyは次のビジネスに着手する。有名ラッパーのJa Ruleと意気投合しFyre(ファイヤー)という名の新サービスを思いつく。有名ミュージシャンをオンラインでブッキングするという新しいプラットフォーム。Magnisesのこともあり、この頃からメディア出演もするようになっていた。

Ja Rule and Billy McFarland, 2016

2016年秋のこと、Fyreのサービスを宣伝するため、Fyre Festivalというイベントを考え付く。アメリカではインスタグラムの影響もあり、バーニングマンやコーチェラ・フェスティバル(有名野外音楽フェス)が若者を中心に近年人気を博しており、それらを超えるような豪華でエクスクルーシブな音楽イベントをバハマで開催することにした。かつてはコロンビアの麻薬王が所有し、別荘として使用していたとされるNorman’s Cayという小さな島を貸し切ることに成功し、2017年4月開催のFyre Festivalのプロモーションが始まる。

2016年12月12日に一斉に200人超のインフルエンサーを通じてイベントの宣伝を開始するとともに、動画も公開し、有名モデルのBella Hadidなんかも出演させた。

Fyre Festival promo video

すぐさまチケット販売を始め、安いもので500ドルから、高いもので250,000ドルのものまで用意し、高級リゾート並みの宿泊環境と豪華な料理と音楽をうたった。結果、5,000枚以上のチケットが完売した。さらに当日使用するための自動決済用リストバンドを販売し、ゲストに対し一日当たり300-500ドルを事前に充当するように促し、さらなる売上を確保していく。

2017年4月27日 開催当日である。ここから人類史上稀に見る、Charlie Foxtrotが展開される。

そもそもその前に、まず開催場所が変わっている。Norman’ Cay島を貸し切ることになっていたはずが、所有主と揉めた結果、別の島の一区画(Roker Point)で開催することになっていた。岩場だった一区画に砂を大急ぎで敷き詰め、小さな人工ビーチを設けただけのものだった。

27日の朝、チャーターされた飛行機で続々とゲストが現れる。

黄色のスクールバスに乗せられ、空港からRoker Pointではなく、町の小さなレストランに案内される。添乗するスタッフもいなく、レストラン周辺に多くのゲストが何時間も放置されたままになっている。

いざ、Roker Pointに移動すると、約束されていたような宿泊環境はなく、白い災害用のテントの海が待ち受けている。チェックインカウンターはなく、口頭で自由に好きなテントに泊まるように言い渡される。なぜか人数分のテントは用意されておらず早い者勝ちの様相。テントの中にはベッドが二つと小さな机が無造作に置かれており、前日の雨の影響でマットレスは濡れている。いまだ食事の提供はない。夜更け頃に、ろくに照明もないなか、飛行機から積み下ろされたスーツケースが大型トラックで届けられる。荷物タッグなどもつけられておらず、地面に放置された荷物の盗難が横行している。ようやく食事が用意されたかと思うと、小さなスチロール箱にはいった、パン切れ2枚とスライスチーズにサラダだけ。肝心な音楽はというと、地元のバンドが夜更け頃から数時間演奏したのみ。関係者スタッフやメディカルスタッフもほとんど配備されておらず、携帯電話は圏外、インターネット接続はない。トイレも設置されておらず、水道もない。多くのゲストが寝る場所もなく、移動手段がないままに現地の夜は明ける。かろうじて空港に戻った者もいたが、残念ながら飛行機は飛び立たない。明け方まで、食事や水も提供されないまま、空調のない待合室で軟禁される。朝になりようやくアメリカ本土向けの飛行機が飛び立った。

ここに来て、ようやくBillyからTwitterにてイベントの中止が宣言される。

Billy McFarlandは現在ニューヨーク州の刑務所で6年の刑期を務めるため服役中である。多くのゲストを欺いただけでなく、従業員、投資家、バハマの現地住人(施設建設に携わった多くの方や食事を提供したレストラン等)、おまけに本人の弁護士まで騙し、全員に対する支払いが滞ったままになっている。

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