GAFAを解体した方が良い理由(編集中)

GAFAの解体について、民主党所属、マサチューセッツ州選出上院議員のElizabeth Warrenは以下のようなスピンオフ案を提案している。いよいよ解体の日は近づいているのか。

アマゾンは現在88名のワシントンDC勤務のフルタイムロビイストを雇っている。

AT&T NTT Docomo

Teddy Rosevelt

AT&Tの解体に学ぶ

1876年にアレクサンダー・グラハム・ベルによって世界で初めて実用的な「電話」が発明されたが、その彼が1885年に創業したのがAT&T社(American Telephone & Telegraph)。1984年に独占禁止法にもとづき解体されるまでの100年近い期間、全米の電話回線の独占企業だった。ちなみに日本でも、同時期の1985年に国有企業だった日本電電公社(日本電信電話公社)が民営化されるまで、一社が市場を独占しており、似た構図とも言える。

Alexander Graham Bell (1847-1922)

1982年に独占禁止法抵触の判決が下り、1984年には長距離交換部門だけを持つAT&T本体と、地域電話部門を担う地域ベル電話会社8社へと分離された。

解体されたことで、当時30年以上も停滞していたとされる電話通信に関連した技術革新が一気に加速したとされる。

AT&Tによる電話回線の独占状態解消で、長距離光ファイバー有線通信を開発したとされるSprint社やMCI社の成長を後押しされ、一社独占の市場から3強の市場へと様変わりした。

またAT&Tの解体が決定した翌年の1983年、Ameritech社により携帯電話通信事業が始動し、Motorola DynaTAC phone(当時の小売り価格$3,995)も発売され、携帯電話黎明の年となる。

ちなみにArpanet社が今では広く普及ししている.com .net .edu等のドメイン名を入手したのも1984年のことでインターネット黎明期とも重なる。

上記のようにAT&Tが解体されたことで、通信分野における自由競争が促され、長年停滞していた同領域における技術革新(光ファイバー通信、携帯電話事業、インターネット事業)が大きく後押しされというのが定説である。

Microsoftの解体に学ぶ

別の例でMicrosoftの独占禁止法訴訟も有名。1994年、1997年、1998年の3度にわたり、MicrosoftはDOJ(米国司法省)により独占禁止法抵触により訴えを提起されている。いずれの場合もMicrosoftの解体には至っていないものの、DOJとの間で部分的敗訴と取れる和解案がいくつも成立している。

当時のMicrosoftはPCにおけるWindowsの圧倒的なシェア(実質独占)強大な経済力をたてに新規参入企業を次々に叩き潰すことで有名だった。その代表例がMarc Andreesssen創業のNetscape社とのブラウザ戦争。世界初の実用的なインターネット・ブラウザを開発し、1995年8月に創業わずか1年半という早さで鮮烈な株式上場を果たしたNetscape社だったが、Microsoftはインターネット・エクスプローラーで対抗した。インターネットエクスプローラーを当時人気絶頂だったWindows ’95にバンドルすることで無償提供し、当時8割近いシェアを誇っていたNetscapeを市場から完全に追い出した。ネットスケープが仮に今も残っていたら、ブラウザあるいはその他の領域においてどのような革新を起こしていたかは不明だが、Microsoftによるパワープレイにより競争の芽を完全に摘んでしまったことは事実のようだ。

Usage share as of Q2 2009 by percent of layout engines/web browsers https://en.wikipedia.org/wiki/Browser_wars

自由競争を阻害する他の例として、パソコンメーカーに対してMicrosoft以外のソフトを採用している場合、懲罰的にウィンドウズを高い価格で卸すなどしていた。さらにはソフト開発会社およびパソコンメーカーに対し、競合製品を一切使わせない排他的契約を締結させたりもしていた。DOJとの和解案によりこれらはすべて禁止された。

仮にMicrosoftがDOJにより独占禁止法訴訟提起を受けていなかったら、Google社(時価総額およそ87兆円、従業員数10万人)は現在存在していなかった可能性が高いと言われている。オンライン検索する際、”Googleする”のではなく、”Bingする”ことになっていたかもしれない。言わずもがなだが、Google社による貢献は単なる検索エンジンに留まらず、Google Maps、Google Chrome(2018年世界シェア63%のインターネットブラウザ)、アンドロイド携帯(2019年2月世界シェア74%の携帯電話OSでアップルのiOSは23%)、Google翻訳、自動運転車(Waymo)等々、枚挙にいとまがない。もしMicrosoftによるソフトウェア一強が続いていたら、これらが一切存在していなかった可能性がある。

資本主義経済における独占禁止法の重要性

AT&TやMicrosoftの例にあるように、独占を許し完全な自由競争に頼ると競争が阻害されることは間違いなさそうだ。市場経済への政府による介入は一見、社会主義的・共産主義的政策にも思えるが、資本主義社会における自由競争を促すうえで非常に重要な役割を担っていると言える。資本主義を本当に信じるならば、一定の独占禁止法の履行は必須と思える。

Facebookに対する批判 その1
世界における惨劇に加担してしまっている

GAFAの中でも特に最近多くの批判に晒されているのが、Facebookだ。個人情報の濫用という観点ではGoogleも近しい批判を受けてきたが、Facebookに対する批判は圧倒的に深刻と言える。

Facebookが直接関係している世界の惨劇が二つある。一つ目がミャンマーにおけるジェノサイド(集団虐殺)。もう一つがインド東部における数々のリンチ殺人。

Facebook CEO Mark Zuckerberg to testifying on Capitol Hill (Apr 2018)

ミャンマーにおけるジェノサイド(ヘイトスピーチの拡散)

2018年8月、国連はイスラム系少数民族ロヒンギャに対するミャンマー西部ラカイン州で発生しているジェノサイドに関する調査報告書を発表している。ミャンマー政府側は否定しているものの、110万人ほどのロヒンギャの基本的人権は否定されており、政府は彼らの存在を同国の歴史から抹消しようとしているという内容の報告だ。およそ30年前からロヒンギャ族絶滅作戦がミャンマー政府によって進められており、記録された犯罪には殺人、監禁、拷問、強姦、性的搾取、迫害、奴隷化などが含まれる。

このジェノサイドに関連して、Facebookのプラットフォームがヘイトスピーチを拡散する非常に効果的な道具として使用されており、悪意に満ちた反イスラムのコメントが定期的に投稿されている。暴力行為を明確に呼びかける内容まで拡散されており、今回のジェノサイドにFacebookが加担してしまっていることは紛れもない事実のようだ。国連側も、Facebookに対しヘイトスピーチへの対策をほとんどしていないことを非難しており、Facebook側もその過ちを認めている。

インド東部における集団リンチ(デマの拡散)

インドでは、ソーシャルメディア上に流布する児童誘拐や強盗、性犯罪者に関するうわさあるいはフェイクニュースにより、これまで20人以上がリンチによって殺害されるという事件が起きている。

インドにおけるWhatsApp(Facebookの子会社)のユーザーは2億人を越えており、日本で言うラインのように広く普及している。WhatsAppにはグループチャット機能(最大で256人とチャット可能)があり、またメッセージの転送も可能となっている。グループチャット上で、よそ者の児童誘拐に用心するよう訴える偽のビデオを見た者が、非定住民族を集団でリンチする事件が起きてしまっている。

これに対し、インド政府はWhatsAppによってデマが広まっているとして名指しで非難をしており、「無責任で扇動的なメッセージ」をめぐるワッツアップ経営陣の方針を「強く非難する」(2018年7月)と厳しく批判する事態となっている。

Facebookは27億人という巨大なプラットフォーム

現在、Facebookの月間アクティブユーザー数は23億人に到達しており、全人類の31%に匹敵する。Instagram、WhatsAppの2つのプラットフォームを加えるとユーザー数27億人に到達しており、重複ユーザーなどを差し引いても全人類の1/3は何らかの形でFacebookが提供するソーシャルネットワークサービスを利用していることになり、その影響は計り知れない。

そんな超巨大なプラットフォームがヘイトスピーチやフェイクニュースを野放しにした場合、とてつもない不幸が起きても何ら不思議ではない。ザッカーバーグに対する非難は然るべきと思われる。

No Facebook logo

Facebookは解体すべきか

米国では長年に渡りSprintとT-mobileの合併に関して、独占禁止法の観点から合併可能かの検討が行われてきた。そんなSprintとT-mobileの合計ユーザー数はわずか1.3億人。Facebookグループの18分の1に過ぎない。この数字だけを見ると、解体すべきなのは明らかのようにも思える。

Facebookが巨大グループとして残ることで、単に自由競争や技術革新が阻害されるだけでなく、倫理的な観点から大きな弊害があると言える。もしFacebookが無責任にフェイクニュースやヘイトスピーチを野放しにした場合、それらを是正する方法が基本的にない。競合企業が複数いれば、多用なサービスが生まれ、その中から良いと思われるものが選別され、自ずと是正されていくことになる。

Facebookに対する批判 その2
中高生を中心に

Wirathu spreading anti-Rohingya hate speech, budhist monk

CTO Evan Spiegel

Sprint and T-mobile DOJ 130M users

2.7B people for Facebook/ Whatsapp/ Instagram greater than the southern hemisphere

depress teens, catalize genocides, hollow out the middle class

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